休職期間中の試し勤務と傷病手当金

20年1月27日

お客様からこんなご質問をお受けする事がありました。
「休職期間中に試し勤務を実施する場合、試し勤務以外の日について、傷病手当金は引き続き支給されるか? 」

「メンタルヘルスの不調により休職中の社員に対し、週2日、1日3時間程度の試し勤務を検討することになりました。試し勤務で出社した時間は簡単な事務作業を予定しており、賃金を支払う予定ですが、その場合、試し勤務以外の日について、傷病手当金は引き続き支給されるのでしょうか?」

健康保険法の傷病手当金は、被保険者が私傷病(業務中や通勤途上以外でのケガ等)にかかり労務不能となり、その療養のため、3日以上継続して休業し、賃金の全部、または一部が支払われなくなったときに、その間の所得を補償するために支給されるものです。

ご質問のような試し勤務をした場合、すなわち、療養期間中に一部勤務した場合、引き続き、傷病手当金が支給されるのかについては、その期間が労務不能と判断されるか否かによります。

そして、労務不能の判断については、各企業が加入する健康保険の保険者(けんぽ協会等)の判断によることとなり、一律の基準があるわけではありません。

そのため、治療に専念すべき療養期間に一部勤務し、労働の対価として賃金が支払われるのならば、労務不能とはいえず、傷病手当金を支給しないとするケース、治療の一環として、通常より少ない労働日数や労働時間の勤務であれば、引き続き、完全な労務提供はできない期間として、傷病手当金を支給するケースもあります。

このように、病気や怪我の状況や労働時間等によって判断は異なりますが、その一部勤務が、【医師の指示に基づく】職場復帰のための治療の一環として行うものなのか、また、出社して行う作業や業務が職場復帰のための【軽微な】ものなのか、そして、その勤務時間が通常の勤務時間に比べどのくらい短いかなどを判断項目としています。

ケガの場合は 比較的判断がたやすいですが、メンタルによる休職で試し勤務を行う場合は注意が必要です。

本人に職場復帰の意思があり、試し勤務を希望していたとしても、メンタルの要因が職場にある場合など、試し勤務が逆に復職の妨げになることも考えられるため、試し勤務の実施が妥当かどうかは、【事前に主治医に判断】してもらい、その上で実施するよう、【十分な配慮】が必要です。

のちのちのトラブル防止のためにも、人事担当者が付き添いで主治医・会社が指定する医師(産業医等)に相談する事も検討されてはいかがでしょうか?

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