足の持病が悪化した社員にスクーター通勤をしたいと言われたら

19年2月17日

お客様からこんなご相談をお受けする事がありました。

足の持病が悪化した社員が申し出たスクーター通勤は許可しないとならないか。
 ※会社として、公共交通機関か徒歩での通勤しか認めていない場合で考えます。


例えば・・・
足の持病が悪化し、手術を控えている社員がいるとします。
その社員から
「ラッシュ時の通勤が大変なので、手術までの間、スクーター通勤を許可してほしい。」
という申し出がありました。

主治医からは、
「歩行時の痛みが強いため、可能な限りの負担軽減が望ましい。」
と診断が出たため、社員本人からの申し出があったわけです。

その会社は、通常は公共交通機関か徒歩での通勤しか認めていません。
また、足の手術を控えている社員にスクーター通勤をさせるのはかえって危険ではないかと判断しました。
しかし、以下のような懸念も出てきました。

♦ 社員本人から申し出があった以上はスクーター通勤を許可しないとならないものなのか?

♦ 万が一、持病の足の痛みが悪化した場合には、スクーター通勤の許可をしなかったことが原因で通勤災害となってしまうのか?

そもそも会社には、「労働者がその生命や身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、配慮しなければならない。」という安全配慮義務があります

就業規則や雇用契約書に明示されていなくとも、労働契約にともなってその義務は会社が負わなければなりません

当該社員の場合には、主治医から「歩行時の痛みが強いため、可能な限りの負担軽減が望ましい。」という診断が出ていますので通勤や事業場内での勤務に関し、足の負担を軽減する何らかの配慮をしなければならないということになります。

まず、スクーター通勤について考えてみましょう。

足の痛みがある状態での運転はかえって危険と判断し許可しないのであれば、その判断で構わないと考えます。
ただし、使用者に安全配慮義務がある以上は足の負担を軽減する何らかの配慮をしなければなりません。
例えば、

・ラッシュ時の通勤が大変なのであれば、その時間帯を避けた時差出勤
・フレックスタイム制による通勤時間帯の調整
・通勤自体のない在宅勤務を認めること

など、現実的な代替案を当該社員と一緒に考えてあげましょう
いずれにしても、足の負担を軽減する配慮が必要になります。

また、申出があったにもかかわらず全く対応をしていない場合は、通勤や事業場での労働により足の状態が増悪した時に、使用者としての安全配慮義務を果たしていないとして損害賠償を請求されることも考えられます。

少し大げさかもしれませんが、スクーター通勤以外の足の負担を軽減する何かを一緒に考える事すらしないなんて、社員のモティベーション低下にもつながってしまいかねません。

そんな社長が朝礼などで「人は宝だ!わが社は人づくりの会社」だなんて叫んでいたとしても雇用している社員からの共感は得られないでしょう・・・・・

また、通勤災害とは労働者が通勤で被った負傷、疾病、障害または死亡を起因とする災害であるため、スクーター通勤を許可しなかったことで足の痛みが増悪した場合であっても、その足の痛みが当該社員の基礎疾患を起因とする病状であり、通勤時に被った負傷、疾病等でない以上、通勤災害にはなりません

また、時差出勤などの配慮措置が難しく、休むことを会社が命じた場合休業手当申請の可能性が生じますので、注意が必要です。

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